ガレージ ・カーポート・車庫の税金について

自宅で車を保管する場所には、ガレージ、カーポート、車庫があります。どれを選ぶかによって防犯性や保護性だけでなく、毎年支払う税金も大きく変わることをご存知ですか?

実は車の保管するスペースの条件によって、固定資産税を支払う必要があります。ここでは固定資産税の基礎知識から、ガレージやカーポートがどのように固定資産税に影響するのか、課税対象の条件や保管場所ごとの税金の違いを分かりやすくお伝えします。

目次

固定資産税とは

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産に対して課される地方税の一種です。毎年1月1日時点で固定資産を所有している個人や法人が納税義務を負います。

課税対象には、土地、家屋、償却資産(事業用資産)がありますが、税額は固定資産の評価額に原則1.4%を掛けた金額になります。

土地や家屋に課される税金と考えてもらえばいいのですが、実際にガレージハウスのような駐車スペースも要件を満たすと課税対象になります。

また、固定資産税の税額に大きく関わってくる要件の一つとして、建物の建ぺい率があります。

(出典:総務省「地方税制度|固定資産税」)

建ぺい率とは

建ぺい率とは、建物の敷地面積に対する建築面積の割合を示す指標のことです。具体的には、敷地面積に対してどの程度の面積を建物が占めているかをパーセンテージで表します。

例えば、建ぺい率が50%の場合、200平方メートルの敷地には最大で100平方メートルの建物を建てることができるというルールです。

なぜ建ぺい率を決める必要があるかというと、住宅が密集しているような地域で地震や火災が発生した際、建物同士が密接していると被害が拡大するからです。また、ルールを設けずに建物を建ててしまうと風通しや採光にも影響が出てきてしまいます。建ぺい率は、風通しや採光を確保し、防災上の安全を保つ目的があります。

そのため、建ぺい率は都市計画法や建築基準法に基づいて規制されており、地域ごとに異なる基準が定められています。

建ぺい率が建物の規模や土地の利用価値に影響を与えることで、結果的に固定資産税にも影響を及ぼすというわけです。

固定資産税の課税対象となる建物とは

固定資産税の課税対象は、住宅の場合、土地と建物です。土地は使用目的に関わらず課税対象となります。建物には3つの条件があり全て満たすと課税対象となるので、それぞれ解説していきます。

外気分断性

外気分断性とは、建物内部の空間を外部の空気や雨風などからどの程度遮断できるかを示す性能のことです。屋根があり、三方向以上が壁に覆われている建物と考えてください。

ガレージと車庫は、一般的に屋根と三方向以上の壁で覆われたスペースのため、外気分断性に該当します。

土地への定着性

土地への定着性とは、建物がどの程度土地に固定され、移動が困難であるかを示すものです。

建物がしっかりと基礎に固定されていて長期間使用される場合は、高い定着性を持つと判断され、これに基づいて固定資産税や不動産評価が決まります。

一時的に設置され、簡単に撤去が可能であるようなプレハブ小屋や物置などは土地への定着性がないと判断されます。

用途性

用途性とは、その建物がどのような目的で使用されるかを示すものです。一戸建てや集合住宅なら「住宅用途」、店舗やレストランなら「商業用途」のように分類されます。

居住や商売など、明らかな目的があって利用できる状態であると、課税の対象になることがあります。

以上のように、建物が固定資産税の課税対象になるかどうかは「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」の有無によります。これら3つの条件を踏まえて、ガレージ、カーポート、車庫に関する固定資産税を解説していきます。

ガレージの固定資産税について

ガレージは土地に定着し、屋根と柱または壁がある継続的に利用されるスペースです。3つの条件「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」に当てはまるため、固定資産税の対象になります。

例えば、ガレージハウス全体の評価額が3,000万円で、その内訳が居住部分2,000万円、ガレージ部分1,000万円とします。

固定資産税率1.4%を適用すると、年間の固定資産税は居住部分が28万円(2,000万円× 1.4%)、ガレージ部分が14万円(1,000万円×1.4%)です。

ただし、車ではなくバイクを置くスペースであれば、バイクガレージであれば固定資産税を回避できる場合があります。一般的なバイクガレージには基礎を作らず物置タイプも多くあるので、土地への定着性がなく課税の対象外になります。

カーポートの固定資産税について

カーポートが固定資産税の課税対象となるかどうかは、その構造の簡易さや土地への定着性の程度によります。しかし一般的なカーポートであれば、基本的に固定資産税はかかりません。

カーポートは3つの条件のうち、「土地への定着性」と「用途性」には該当しますが、柱と屋根だけで壁がない構造のため「外気分断性」には該当しません。

車を複数台置けるような大きなカーポートであっても、固定資産税の対象にはなりません。

固定資産税という点からみるとカーポートを選ぶメリットはあるのですが、カーポートは建ぺい率の対象ではあるため、大きなカーポートを設置してしまうと、住宅部分の建築が狭くなってしまうというデメリットはあるので注意が必要です。

車庫の固定資産税について

車庫は、ガレージと同じく3つの条件「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」に該当するため、固定資産税の課税対象です。車庫の構造、材質、広さ、築年数などを基に税額が算定されます。

例えば、鉄筋コンクリート造の広さ30平方メートル、築年数10年の車庫の評価額が300万円とされた場合、固定資産税率1.4%を適用すると、年間の固定資産税は4.2万円(300万円×1.4%)です。

ただし車庫だけが独立して登記されていない限り建物全体で評価額が決まるため車庫分だけの固定資産税は切り出して評価することは困難ではあります。また仮設車庫や非常に小規模な車庫などは、固定資産税の課税対象外となる場合もあります。

まとめ

愛車を大切に保管したいのであれば、保管性や防犯性の点からガレージが最適です。しかしその分、固定資産税がかかる可能性があります。

固定資産税を避けたいのであればカーポートが選択肢として考えられます。また、車庫であれば固定資産税は安く抑えられますが、スペースや構造、性能ではガレージに軍配が上がります。

固定資産税を避け、かつ保管性や防犯性も叶えたいのであれば、賃貸ガレージハウスを検討するといいかもしれません。賃貸であれば自分で固定資産税等を負担する必要がないため、愛車との希望のライフスタイルを予算内で実現しやすくなります。

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